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15話 

 目が覚めると全身が包帯に包まれていた。足は天井から吊るされて固定されているようだった。
どうにも不恰好だ。そう思いながらmどうしようも出来なので大人しくしていようとおもった。
 クー、クー。耳元からそんな寝息が聞こえてきた。そちらを向くと誰かが寝ている。
「…ハヤテ君。」
疲れているのか、かなり深い眠りについている。だから今は寝せてあげようと思った。





 「あれ、僕寝ちゃってたんだ。」
それはさきほどヒナギクが目を覚ましてから30分ほどのことだった。
時計をみて時間がたっていることに気が付く。そしてッヒナギクの方を向いていると窓の向こうに顔を向けた彼女がいた。パイプ椅子がギシっと軋んだ。その音に反応してヒナギクはこちらを向いた。
「あら、おはようハヤテ君。」
少しだけかすれた声で申し訳なさそうに挨拶をしてきた。ソレをみて緊張していたハヤテは一気に安堵した。
そしてヒナギクに近づいていく。
「…良かった。本当に良かった。」
そう言ってヒナギクの力をなるべく入れないようにして抱擁した。
「え?」
彼の顔がすぐ隣にある。そして泣いていた。
「無事で、本当に良かった…。」
心の底からほっとしたらしくハヤテは気が緩み涙を流した。
もしものことがあったら。そう考えていたため、ヒナギクの声が聞こえて”つい”なのだろう。
「…ごめんなさい。」
目を閉じて心から謝罪をした。なんだか本当に悪いことをしてしまったと言う自責心が強くなった。
隣で好きな人を泣かせてしまった罪は、きっと重い。でも、それだけ心配してくれたことに嬉しくもあった。
「…ヒナギクさんが無事ならそれでいいです。」
涙を拭って最高の笑顔になった。そしてもう一度顔を近づけて今度は頬擦りをした。
「暖かい。ちゃんとヒナギクさんだ。」
そういうと顔を離した。そのときのヒナギクの顔はそれはもう赤く紅く染まっていた。





 しばらくすると医者が朝の見回りにきた。そしてヒナギクの意識が戻ったことを確認すると後の処置は案外いい加減だった。『絶対安静。それだけです。』
それだけ言うと部屋から去ってしまった。
 それからしばらくすると桂家の人と千桜とナギたちがやってきた。
それぞれが安堵の声を出すたびにヒナギクは謝っていた。それでも誰一人怒る人なんていなかった。誰も迷惑をかけられただなんておもっていないかった。




 今日一日に訪れた人は多かった。それだけヒナギクは皆にとっても大切だと言うこと。それだけは分かったのだった。そのことはとても嬉しくて、胸がいっぱいになった。
 今日最後までその場に残っていたのは桂家の人とハヤテと千桜だけだった。個室のため12時くらいまでは点灯していても良いようだった。
「あのね、ハル子。ちょっといいかしら。」
話の切れ目としてこんなことをヒナギクは言った。
「あの、演舞会なんだけど、できれば私に代わって主役をつめて欲しいんだけど、だめかしら?」
そういえばそんな話があったな、思ったのはあまりの出来事に練習を放っていたからだった。
そのため一瞬反応が遅かったが思い出したようにうんうんと首を振った。
「あぁ、そういえばそんなこともありましたね。すっかり忘れてましたよ。それで、ヒナギクは私と役を交代したいと。」
「って言うか、誰かとは絶対に交代しないといけないんだけど、そのことを踏まえてハル子に頼んでるの。」
すっかり忘れていたとはいえ当日はそう遠くない。そんな中で代役が務まるかが千桜の中では微妙な感じだった。
「いや、私がと言うのはちょっと…。」
心の準備も何も出来ていない。と言ったようで妙にキョロキョロしている。どうしたらよいかハヤテの方を向いてみるがハヤテは微笑んでいるだけだった。
「だって、じゃないと他の人にハヤテ君を取られちゃうかもしれないじゃない。そんなの私はいやだから。」
それじゃあ私はいいのか、とは言わなかった。だが確かにジンクスが存在している。人為的なものか否かは別としても主役同士をやった男女が結ばれる。つまりラノベで言えば何か一緒に共同作業をしたりすることでフラグが経つなんてことも無くは無い。その可能性は否めないのだった。
「そうだけど。………いや!やっぱりやろう。」
そう考えるいよいよまずい気がしてきたのだった。
「え?やってくれるの?」
「あぁ、綾崎君を誰かにとられるかも分からないし、絶対やらなかったら後悔すると思う。だから代役を請け負おう。」
威勢良くそういうとヒナギクは大きく頷いて軽く手をタッチしたのだった。
「じゃあ、まかせたわ。ハヤテ君とは、しっかりね。」
勿論だと言わんばかりに首を縦に振るとお互いに笑いあえたのだった。
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